『ブラック・ジャック』(1巻)全話感想

 

ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

ブラック・ジャック (1) (少年チャンピオン・コミックス)

 

  いま18巻くらいまで読んでるんですが確かに面白くて、このままただ読んで消費するよりは、せっかくブログ持ってることだし、感想を書いていきます。

 

 第1話『医者はどこだ!』

【あらすじ】

 大実業家ニクラの一人息子・アクドは暴走運転で大事故を起こし致命傷を負う。ニクラは天才外科医ブラック・ジャック(以下BJ)の噂を聞きつけ息子の治療を依頼。しかし重症のアクドを救うには怪我を負った部位を別の人間と取り替える必要があるとBJは告げる。ニクラは現場に居合わせた青年デビイに金の力で罪を被せ、彼を死刑に陥れる。

【感想】

「医者はどこだ」は『ねじ式』が先なんだそうです。第一話のタイトルにこれを持ってくる笑。

 第一話でBJの「天才外科医」「強きをくじく食わせ物」「でも本人も強いし悪い、いい人じゃない」というキャラクターが発揮されています。

 

第2話『海のストレンジャー

【あらすじ】

 嵐の晩に呼び出されたBJは何者かに失神させられ、陸を遠く離れた船の上で目を覚ます。BJは盗賊団のグループのボスに、犯行の際に重傷を負った弟を治すように脅される。しかし輸血ができず治療は難航。盗賊団のひとりが気まぐれで銃撃したイルカをBJ並行して治療する。ボスの弟は意識を取り戻すが経過はすぐれない。

【感想】

 私は絵は描かないが、絵がうまい。ただ手塚治虫が絵が上手いみたいな話するとなんかうるさいことを言う人がいるので、もうこのことは言いません。

 なんか、こう、動物ってこんなに人間に優しいかね。人間のダメさ不寛容さ不完全さを表現するために動物を聖者として描いたのだろうか。面白いけどね! 

 BJのドライというか無慈悲なところが出てきます。あとアクションシーンもあって、喧嘩の腕前も一流なのがわかります。

 

 第3話『ミユキとベン』

【あらすじ】

 札付きの不良少年ベンはある日ミユキと出会う。鑑別所(?)から出たベンはミユキを追うが彼女は全身を癌に冒され病院のベッドで死を待つ身だった。ベンはBJに手術を依頼する。提示された報酬は500万円。蛮行で金を手にしたベンだが彼も危篤の身となる。

【感想】

 キャラの心情に合わせて風景がぐにゃ〜ってなるのは『刃牙』や『カイジ』もやってますが、ここでも出てきます。「手塚がもうやってる」ってやつですね。このへんももう言いません。

 蛮勇な貧困者が身を捧げる話だけどスカッとしない・気分が重くなる結末。(『火の鳥』も重すぎて途中で読むのを中断してしまった)

 BJにめでたしめでたしな、ハッピーエンドな話はあまりない。他の作品もそうかも? あんまり読んだことないんです。

 ベンとミユキも最上の形で結ばれたといえばそうなのだが。

 

第4話『アナフィラキシー

【あらすじ】

 戦線から運ばれた軍人の患者ジョージは、心臓を囲む冠状動脈に銃弾がめり込んで瀕死の状態だった。ジョージの父メイスンは代々国に仕える軍人として、息子を戦場で死なせるべくBJにオペを依頼する。危機一髪のオペは成功に納まった。歓喜する父のメイスン。彼とBJのやり取りを聞いていた看護師は……急転直下の事態にメイスンは銃を手にBJを追う。

【感想】

 納得いかない。個人の正義のために殺人が行われ、そしてそれは加害者の嘘によって美談として闇に消える。それはBJが忌み嫌うことじゃないのか? 不条理だ。

 あとまあ、個人的に戦争いやー、軍いやー、と。医者と軍人が暇な世の中であってほしい。

 

第5話『人間鳥』

【あらすじ】

 生まれつき足に障害のあるイカルはBJの整形手術により翼を身に具えている。世を忍び生きていたイカルだがついに世間の目につく。

【感想】

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 80年代生まれの私は、ひとつのコマの中にある吹き出しは右上から逆Zの順に読んでいきますが、当時は「右上から反時計回り」で普通なのでしょうか。

 冒頭が人力飛行コンクールのシーンなのですがここで出てくる飛行装置の構造それぞれ手塚さんが(一人で、かどうかは知らんが)考えたのかと思うとすごい。

 だんだんBJの素性が明らかになってきます。

 話の感想としては……イカルよかったね。前途洋々ではないけど。はあー

 

 第6話『海賊の腕』

【あらすじ】

 学校一の体操名人イッチンこと一ノ瀬は人気者だったが、左腕が壊疽に冒され切断を余儀なくされる。入院先の医師はイッチンに想いを寄せる女生徒の懇願を受けBJに相談を持ちかけた。(報酬はイッチンの出世払いとして)BJは手術し特製の義手を与える。今まで彼を取り巻いていた連中の目つきは以前のものではない。運命を呪うイッチンだが彼の才能は体操だけではなく義手もまた特別なものだった。

【感想】

 『寄生獣』はここから……というのはうがちすぎ? 純愛ものです。しかし持たざるものとしてイッチンには同情しない嫉妬する、とここまで書いて自分の低さが嫌になった。

 

第7話「ふたりの修二」

【あらすじ】

 自分の作った鉄道会社を副社長の明智に乗っ取られる事態に怯える社長の織田。息子の修二に会社を継がせたい織田だが、修二はまだ中学生。その修二が地下街の火事で見る影もなく焼死する。織田は死んだのは娘の久美で、修二は無事とでっち上げる。BJの手で性転換手術を受けさせられる久美。しかし修二は生きていた。その詳細を知った副社長明智は謀略を企てる。

【感想】

 週刊少年チャンピオンに掲載されたの、これ? 『蘭丸XXX』の?『オヤマ! 菊之助』の?

 家父長制/女性軽視の地獄の話。こういう旧来の歪な習慣に意を唱える話は面白いし、この時代(70年代から80年代前半)に存在してくれてよかった。幸福な人物は一人もいないけど真実に向かっていく意思を持つ人間を送り出す、生に対してひらかれたBJ(という人物、そして作品)の存在に感動した読者は当時も(当時こそ)多かっただろう。

 

第8話『鬼子母神の息子』

【あらすじ】

 頻発する児童誘拐事件。身代金の要求を飲まない被害者の元へ切断した指を送りつける凶悪な手口で犯行が続けられている。ある屋敷に住む母子家庭があったが、この母親こそ犯行グループのボスだった。警察からの疑念を避けるために母は我が子の誘拐を実行する。

【感想】

 優しい母が極悪非道の女ボスに切り替わるギャップがすごいと言うか、同じ人物で同じ顔なのに別の人になるのが。なんというか。あんまりスゴイスゴイ言いたくないけど。

 暗いけど美談。未来も、まあ、ある。

 

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 書いてて疲れた。

 2巻以降もやるかどうかは未定。